モンキーエンジンのオーバーホールをするため、エンジンを全バラし、各部の清掃と部品交換を行い組み付けを行いました。
そこでこの記事では、モンキーエンジンの腰下の組み付け方法を画像付きで解説していきます。
初めて組む人にも分かりやすいように、なるべく画像多めで紹介していきます。
必要な工具
- スナップリング外し
- ラチェット
- ソケット
- オイル注し
- ロックナットレンチ
- ユニバーサルホルダー
【モンキーエンジン】腰下の組み立て方法
モンキーエンジンの腰下は以下の手順で組み付けていきます。
- 合わせ面をオイルストーンで研磨
- ゴムパッキンを交換する
- ミッションを入れる
- キックギアを入れる
- クランクシャフトを入れる
- クランクケースを被せる
- クランクケースのボルトを締める
- シフトアームを入れる
- シフトドラムに星型プレートを固定
- シフトガイドの取り付け
- キックのリターンスプリングの取り付け
- ミッションの入りを確認する
- オイルポンプの取り付け
- クラッチ周りの組み込み
- カムチェーンの取り付け
- ジェネレーター側の組み込み
合わせ面をオイルストーンで研磨
まずエンジンを組み込んでいく前に、クランクケースの合わせ面をオイルストーンで研磨していきます。
これをやっておかないと、オイル漏れの原因になる場合があります。
必ずやっておいた方が良い重要な作業です。
ゴムパッキンを交換する
- スプロケットのシャフト
- シフトペダルのシャフト
- クラッチカバーのシャフト
これらのオイルパッキンを交換する場合は、エンジンを組み込む前に交換しておいた方が作業効率が良いです。
もし、交換予定であれば、エンジンがばらけているうちに交換しておいてやりましょう。後からでも交換出来るけど、バラけている時に交換しておいた方が、交換しやすいですよ。
ミッションを入れる
ここから本格的に腰下の組み立てが開始します。
一番始めに組み込むのは、ミッション。ミッションにシフトドラムを入れた状態で、ミッション周りを丸ごとクランクケースにはめ込んでいきます。
この時、ミッションのシムの入れ忘れに注意です。
- メインシャフトの裏側
- スプロケ側の表面
赤丸側(シャフト右側)のシムは、裏面に1枚入ります。組み付け方向から見て、上側にはシムはありません。左側のシャフトは上側にシムが入ります。
細かく説明していきませんが、ギアやベアリング周り、差込部分等にはオイル注しを使ってオイルを注入しながら組み込んでいきます。
キックギアを入れる
ミッションを入れ終えたら、次にキックシャフトもはめ込みます。
下の画像のように、クランクケースの溝にはまり込めむように入れてあげるだけです。
シフトアームにも1枚シムが入るので、入れ忘れに注意です。
リターンスプリングはクランクケースを合わせてから取り付けるので、後ほど。
クランクシャフトを入れる
ミッションとキックシャフトを入れたら、クランクシャフトもはめ込みます。
クランクシャフトのベアリングがしっかり、クランクケースのベアリングレースにハマってることだけ確認しておいて下さい。少しクランクシャフトを揺さ振れはスコッとハマると思います。
クランクケースを被せる
ミッション、キックギア、クランクシャフトをはめ込み、ミッションとキックギアのシムの入れ忘れがないかを確認したら、クランクケースを合わせていきます。
クランクケースを合わせる前に、ノックピンとガスケットを入れるのも忘れずに…。
ノックピンの位置は下の画像の赤丸部分、2ヶ所にハマります。ノックピンが入るように、大きい穴が空いているので、すぐ分かります。(入る場所しか入らない。)
ガスケットをカットする際には、少し余裕を持ってカットしておきます。腰上を組む前にはみ出たガスケットをカットし、組み込む感じです。
クランクケースのボルトを締める
クランクケースを合わせたら、エンジンがばらけてしまわないように、クランクシャフトのボルトを締めて仮固定しておきます。
ジェネレーター側から固定するボルトです。全部で7本だったかな?
この時に、シフトドラムを固定する【10ミリ】のボルトも締め込んでしまってOKです。ワッシャーが入るので、ワッシャーも忘れずに…。
シフトアームを入れる
クランクケースを合わせて一番始めに組む部品は、シフトアームになります。ただ差し込むだけです。
下側は、クランクケースに固定してある、こちらのピンの中ハマるように。
上側はシフトドラムのノックピンの真下に来るように組み込めばOKです。
ノックピンを下から支えるように感じになるように、手でそこまで運んでやります。
シフトドラムに星型プレートを固定
先ほど取り付けたシフトアームを押さえるように、ワッシャーを入れて星型のプレートも入れて2枚を10ミリのボルトで固定してやります。
シフトドラムに打ってある、ノックピンにワッシャーとプレートの穴がハマるので、そこの穴にしっかりハマったことを確認してからボルトを締め込んでください。
ボルトを締める際に、シフトドラムが回転してしまいますが、気にしなくて大丈夫です。最終ギアに入るところでシフトドラムが回らなくなるので、そこで締め込みが出来ます。
※正式名称は星型のプレートではないと思う…。勝手にそう呼んでいるだけ。
シフトガイドの取り付け
シフトドラムにワッシャーと星型のプレートを固定したら、シフトのガイドのアームも締め込みます。
上の画像の矢印が示す部品です。
バネが付いています。バネは下の矢印部分に引っ掛けるというかはめるというか…。ケースにぶつかるように組み込めばOKです。キックシャフトみたいな切掛けはありません。
この辺でオイルフィルターも入れておきましょう。忘れないうちに…。画像の矢印部分にはめ込むだけです。
キックのリターンスプリング取り付け
キックシャフトのリターンスプリングは、指印にスプリングを引っ掛けた状態で、ケース内の切掛けにあるように入れてやります。
この状態で、スプリングを白い矢印の方向へ引っ張り、クランクケースに上手いこと引っ掛けます。マイナスドライバーで、スプリングを引っ張っていけば上手く引っ掛かります。
無事にスプリングが引っ掛けられたら、スプリングをブラケットごと手で奥に押し込み、スナップリングで固定してやります。
押し込まないと、スナップリングを固定する溝が見えてきません。溝が出て来るまで押し込みましょう。
ミッションの入りを確認する
ここまででミッション周りの組み付けは完了になるので、ここで次に進む前にギアの入りを確認しておきます。もし、このまま組み進めてギアが入らないなんてことになれば…
もう一度バラして組み直しになりますので。
確認方法は、シフトアームを手で押し込みギアを変えてやります。
- 左に動かす シフトダウン
- 右に動かす シフトアップ
上の画像のように、シフトアームのこの部分を手で左右に動かしギアチェンジをテストします。もしギアが変わらない場合は、メインシャフトを左手で回しながら、シフトアームを動かすとギアが変わると思います。
現在ギアがどこに入っているかを確認する方法は、シフトガイドアームが星型プレートの先端にあるローラーがどこにあるか?を見て確認可能です。
画像にそれぞれ1速から4速までの位置を、文字を入力しておきましたので、参考に。
※こちらは4速リターンのミッションです。
N(ニュートラル)の位置だけ溝が浅いのが特徴です。
ニュートラルに入れる際には、シフトペダルを優しく操作しないと、Nを通り越し、次のギアに入ってしまう理由がよく分かりますね。
当然ですが、5速ミッションを組み込んでいれば、星型プレートにもう1つ溝が追加されます。
さらにギアが正常に入っているかを確認する際には、メインシャフトを手で回しながら、スプロケットが取り付けれるシャフトを確認すれば、ギアがちゃんと入っている(噛み合っている)か確認が取れます。
こいつを手で回して…
スプロケットのシャフトが同時に回れば、ギアが入っている(噛み合っている)証拠です。ちなみにニュートラルになっているときは、スプロケット側は回らないのが正解。
1速→N→2速→3速→4速と全てのギアに入れて、確認しておきましょう。
もしギアを入れているのにスプロケット側のシャフトが回転しない場合は、残念ですがクランクケースを開けてミッション周りを確認する必要があります。もしくは、星型プレート付近の組み間違いか…。
再度、組み間違いが無いか確認して下さい。
- シムは入っているか?
- シフトアームは正しく付いているか? などなど
オイルポンプの取り付け
ギアの入りに問題がなければ、次にオイルポンプの組み付けです。
- ガスケット
- カラー
これらの組み忘れに注意して、オイルポンプを組み付けて下さい。
詳しくはこちらの記事でオイルポンプの組み付け方法や注意点を解説していますので、この記事では簡単な説明だけで失礼致します。
強化品を組み込む際には、オリフィス加工も忘れずに行いましょう。
クラッチ周りの組み込み
オイルポンプの固定が終われば、プライマリードリブンギアとクラッチディスクを組み付けます。
プライマリードリブンギアは、はめ込んでスナップリングのみで固定。クラッチディスク側は、クランクシャフトに…
- カラー
- ギア
- クラッチディスク
これらをこの順番に組み付け、ロックワッシャーを入れてロックナットで固定すればOKです。
クラッチ周りの組み付けに付いては、こちらの記事で詳しく解説しています。お手数ですが、組み付けに不安な方はこちらをご覧下さい。
クラッチ周りが組み付け出来たら、またノックピンとガスケットを入れてクラッチカバーを固定です。こちらのノックピンも右下と左上です。ハマるところにしかハマりません。
クラッチカバーをはめる時には、カバーの裏に画像の金具(名前が分からん)がハマっていることも忘れずに確認しておきましょう。
ハマっているだけなので、バラした際に落ちている可能性も…。これが無いとクラッチが切れません。
カムチェーンを組み付ける
ジェネレーター周りを組み付ける前に、カムチェーンの組み付けを行います。
ジェネレーター周りを組み付けてしまうと、カムチェーンが入れられなくなってしまいますので、忘れずに…。
クランクシャフトのギアとオイルポンプのギア、テンションナーにカムチェーンをはめ込むようにチェーンを通してあげるだけです。モンキーのカムチェーンは【82リンク】です。
ちなみにテンショナーは、はめるだけ。特に固定はされていません。
テンショナーはゴムなので、腰下をバラしたりする際には、交換しておくことをお勧めします。
50ccも88ccも106ccも。レギュラーヘッド(純正形状のシリンダーヘッド)の場合は基本、82リンク。ツインカムとか余程のハイパーエンジンに組み上げない限りは…。
ボアアップキットの組み込み時には、カムチェーンを強化品に交換することも忘れずに。純正だと伸びやすくなります。
ジェネレーター側の組み込み
最後にジェネレーター側の組み付けを行なっていきます。
ステーターベースを固定し、ウッドラフキーの入れ忘れに注意し、フライホイールをはめ込み、14ミリのナットで固定してやるだけ。ナットの前にワッシャーが入るのでそれも忘れずに。
固定方法が分からない方はこちらの記事をご覧下さい。
まとめ
腰下だけとは言え、かなりの工程数がありますが、焦らずに1か所ずつ組み込んでいけばあっという間に腰下が組み付けられると思います。
注意点は記事中でも複数、お伝えしてきましたが、ミッション周りの組み込み時には特に注意して下さい。
- シムは正しい場所に入れたか?
- ギアは全て正常に入る?作動している?
おそらくありがちなトラブルは、ミッション周りの組み付けミスだと思います。ここは特に慎重に作業した方が良いと思います。
もしどうしても不安であれば、虎の巻を購入することをお勧めします。僕自身も以前、こちらを持っていました。(引っ越しする際に行方不明になりましたけど…。)
それでは。
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