車の車高を下げている人であれば『ロアアームの上げ加工』なんて言葉を耳にした事がある!という方も多いはず。しかし、このロアアームの上げ加工による本来の狙いとは違う意味合いで捉えているいる人が多いのも事実です。
ではその間違いとは何か??
それはタイトルにもある通り、ロアアームの上げ加工によって『ドライブシャフトの万歳』が解消されるという間違った捉え方です。
結論から言っておくと『ロアアームの上げ加工』はロアアーム自体の為に行う加工でドライブシャフトの万歳解消とは何も関わりはありません。
車の構造を良く考えればすぐにわかる事です。
*この記事ではFF車のフロントロアアームのお話をしています。
ドライブシャフトの万歳とは?
ドライブシャフトというのは車のタイヤを駆動させる為に、ミッションとタイヤを繋ぐ一本のシャフトの事を意味しています。
このドライブシャフトはミッションケースからタイヤ(ハブ)を連結している為、車高を下げる事によって本来平行になっているもの(正確には平行ではありません。)が斜め上がりの角度になってしまう事を意味します。
ドライブシャフトの万歳はドライブシャフトに大きな負担を掛けることになり、最悪の場合にはドライブシャフトが破損してしまう恐れもあり得ます。
他には、付け根のオイルシールがダメになりオイル漏れに繋がるリスクもあります。
ロアアーム上げ加工の役割
冒頭でもお話している通り、ロアアームの上げ加工というのはロアアーム自体の為に行うものです。
先程車高を下げるとドライブシャフトが万歳する!というお話をしましたが、万歳するのはドライブシャフトだけでは無くロアアームも万歳してしまいます。
ロアアームはメンバーフレームとハブを繋ぐ部品で、ドライブシャフト同様に車高の変化によって傾きが変わってきます。
車高を下げてロアアームが万歳してしまう事で、ロアアームのブッシュに無理な負荷を掛けてしまい、ロアアームの寿命を減らしたり、乗り心地の悪化に繋がります。
下手くそですが簡単な図解です。笑
この図を見てもらったら分かるように、ロアアームに上げ加工を施し、ロアアームを平行にしてもハブの位置が変化する訳ではない為、ドライブシャフトは万歳したままなのがお分かり頂けると思います。
ちなみに実車での比較画像がこれです。
当たり前ですが、ロアアームの上げ加工をした事による車高の変化も全くありません。(一部例外の車両もあり)
トヨタのセダン車(クラウン・マークx・アルテッツァ)だとロアアームに車高調が取り付けられるため、ロアアームの上げ加工により、ロアアーム位置が地面に近づく事で車高調整をしないと加工ロアアーム取り付け前よりも車高が低くなります。(トヨタ車以外のセダンは触ったことが無いので分かりません。)
ドライブシャフトの為の加工は延長加工
少し上げ加工とは関係がありませんがオマケとしてお話しておきます。
ロアアームの加工は延長と上げ加工がセットで行われる事が多いので頭に入れておいて損は無いと思います。
ロアアームの加工によってドライブシャフトの負荷を軽減させるのは『延長加工』になります。
車高を下げたり、キャンバーを付ける事でミッションケースに押し込んでしまったドライブシャフトを規定の位置に戻すために行うのがロアアーム延長になります。
詳しくはこちらをご覧ください。
ロアアームの延長でキャンバー角が付くのは『マルチリンク』『ダブルウィッシュボーン』の足回りを採用している車の話ですのでお間違いの無いように。
まとめ
ロアアームの上げ加工がドライブシャフトの保護意味を持っていると勘違いしている方々が多いですが、あくまでロアアームの上げ加工はロアアーム自体の為にやる加工という事を頭に入れておきましょう。
※ロアアームの上げ加工によって、ロアアームが適正位置に近くことでドン突きを気持ちばかり抑えられると言う観点から言えば少し話が変わりますが…。
大概の方が上げ加工されたロアアームを使っているのは延長加工が目的だけど一緒に上げ加工されている物が多く出回っているからだと思います。
僕自身が加工ロアアームを組んでいるときもそうでした。
勿論ロアアーム自体の保護役割以外にも目的がある場合もあります。
しかし、間違ってもドライブシャフトの万歳解消は致しません。
ドライブシャフトの万歳を解消させる方法があるとすれば、エンジンの取り付け位置を上げてあげるか、車高を上げてやるぐらいしかないかと思います…
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