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FF車はキャンバーを付けるためにロアアーム延長をしてはいけない理由

キャンバーを付けたいが為だけに『ロアアーム延長』を視野に入れる方が多く目立ちます…

 

しかし、これは『正解』でもあり、『不正解(やってはいけない)』でもあるんです。

 

つまり、『足回りの構造』によって、やって良い車とやってはいけない車があると言う事です。やってはいけない車と言うのが【FFフロントストラット】の車です。では一体何故ダメなのか?ここが皆さんの1番気になるところかと思います。

 

この記事では何故『キャンバーを付けるためにロアアーム延長をしてはいけないのか?』これについて詳しく説明していきます。

 

※当記事は『FFストラット車』に関する考え方です。

 

 

ロアアーム延長の目的

ロアアーム延長をキャンバー角を付けるため!と勘違いしている人がいますが実際には全く目的が違います。

 

ロアアーム延長の目的は『ドライブシャフトの補正』です。

 

  • 車高を下げる
  • キャンバーを付ける

 

この2つの行為によって、ドライブシャフトはミッションケースに押し込まれていきます。多少のストローク幅(出入り出来るキャパ)がもちろんありますが、極度のキャンバーや車高のダウンを行った際にドライブシャフトがミッションケースにドン付いてしまいます。

 

このようにドン突いてしまったドライブシャフトの位置を補正するのが目的でロアアームを延長するのです。

 

ロアアーム延長するとどうなる?

 

ロアアーム延長をする事で『ドライブシャフトのドン付き』が解消される事が分かったと思います。

 

次にその構造的仕組みのお話をしていきます。

 

ロアアームは以下の3点に固定されています。(2点の場合もある。)

 

  • 車体
  • サブフレーム
  • ナックル(ハブ)

 

ロアアーム延長した時、当然ですが車体とサブフレームの位置は決して動く事はありません。延長によって位置が変わるのは『ナックル』になります。

 

そのため、ロアアーム延長を行う事でナックル(ハブ)が車体の外側にオフセットされます。

 

ハブにドライブシャフトが固定されています。その反面ミッションケース側は固定されておらずハマっているだけなので、必然的にミッションケースに押し込まれたドライブシャフトは再び、外に出てくる動きになるのがお分かり頂けると思います。

 

これがロアアーム延長をして起こる変化になります。

 

フロントホイールのこの部分から見える(センターキャップに隠れてる)ナットでハブとドライブシャフトが固定されています。

 

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ロアアーム延長が必要な場合

これはズバリ、ドライブシャフトがドン突き症状を引き起こしている場合になります。

 

ドライブシャフトがミッションケースにドン付いた場合、運転している感覚でわかりますので、症状が出た場合ロアアームの延長が必要になってきます。

 

ドン突きの症状

ドライブシャフトがドン付いている場合、走行中にジャダーが発生します。酷くドン付いている場合、足元からも振動を感じる事が出来るためすぐにわかると思います。

 

もう一つ大きな特徴として、ジャダーのリズムは車の速度に合わせて変化していきます。当然ですが、ドライブシャフトの回転数と車の速度は比例しているためです。

 

よくドン突きが確認される状況は車がカーブに差し掛かる時や、カーブを曲がっている時になります。これはハンドルを切る事によってドライブシャフトがミッションケースに入っていくためです。

 

もともとドライブシャフトにストローク幅があるのはハンドルを切ったり、段差で車が沈んだ時にドライブシャフトがドン付かないようにする為です。

 

そのような理由から、直進している時は何ともないけど、曲がっている時に発生するのです。

 

ロアアーム延長が引き起こすトラブル

本来、ドライブシャフトのドン付きを解消するために行う延長加工ですが、くドン付いていない車にロアアーム延長を行うとトラブルの原因につながるケースがあります。

 

先程からお伝えしている通り、ロアアーム延長はドライブシャフトを外にオフセットする役割があります。

 

ドライブシャフトは内側に入り過ぎるとドン突きを起こし、外側に出過ぎるとミッションケースから抜けてしまいます。

 

先ほども少し話しましたが、ドライブシャフトはハブ側はナットによって固定されていますが、ミッションケース側はスプラインに沿って差し込まれているだけです。

 

そのため、無闇にロアアーム延長を行ってしまうと、ドライブシャフトが外に引っ張られる事でハンドルを切った時や走行中にドライブシャフトが抜けてしまうというトラブルを引き起こします。

 

当然、ドライブシャフトによってエンジンからの駆動をタイヤに伝えているため、力が伝達出来なくなり車は走行不可能になってしまいます…

 

※ここでは詳しくお話しませんが、ドライブシャフト一本(片側の駆動)だけでは絶対に走れませんからね!!笑

 

まとめ

 

キャンバーを付ける目的で、ロアアーム延長を考えていた方は別の方法を考えましょう。

 

フロントキャンバーは確かに付けにくいですが、キャンバーを付ける方法は他にも存在します。

 

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おそらく、色々な手段でキャンバー角を付けているとドライブシャフトはドン突きを引き起こしますのでまたその時にロアアーム延長を視野に入れるといいですね。

 

すでにロアアームを買っちゃった…という方も売らずに取っておくといつか出番がくるかもしれません。

 

それでは。

 

 

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