先日、知り合いの方に頼まれて車高調取り付けのお手伝いをしていたのですが、ドライブシャフトが脱臼…。
そこでドライブシャフトの脱臼を治す作業を行いましたので、ドライブシャフトが脱臼して困っている方向けに、ドライブシャフトの脱臼を治す方法についてお話ししていきます。
先にお伝えしておきますが、そのまま押し込んで脱臼を直すのではなく、ブーツバンドを外してブーツをめくった状態で作業をすることをお勧めします。
必要な工具
- ドライブシャフトのブーツバンド
- ブーツバンドの締め付け工具
- タイロッドエンドプーラー
タイロッドエンドプーラーは、ロアアームとナックルの連結部分を取り外すのに使用しています。
※ロアアームとの連結部分は、外さなくても作業可能な気もしますが、時間が無かったため整備士の方に先に確認を取ったところ、過去にロアアームを切り離して直した気がする。と言われましたので、外してやりました。
ドライブシャフトが脱臼した際の治し方
※脱臼とも闘いましたが、時間とも闘っていたので、ほとんど作業中の写真はありません。代わりに説明に役立ちそうな画像をチョイスして説明していきます。
ドライブシャフトが脱臼してしまった場合の直し方は、ドライブシャフトブーツをめくって中の状況を確認しながら再度ベアリング部分をカップリングの内部に入れてやるのが最も確実です。
なんでわざわざブーツをめくってまで、余計な手間を掛けるのかは後ほど。
今回の作業手順は以下の通りです。
- ロアアームのボールジョイント部分を外す
- ブーツバンドを外す
- ブーツをめくって中の状態を確認
- ベアリングを内側に入れる
- ハブとドラシャを手で持って入れ込む
- ブーツバンドを締め付ける
ドライブシャフトが脱臼してしまった際には、人間の関節をはめ込むように押し込めばすんなり脱臼が直るケースもありますが、場合によってはそれだけでは脱臼を直すことが出来ない場合も…。
ドライブシャフトを回したり、上手く持ち上げたりしながら、位置を上手いこと合わせた状態で押し込んでみてダメならドライブシャフトブーツを外して中の様子を確認してやる必要があります。
今回は、自分の車ではありませんでしたので、少しだけそのまま脱臼が直せないか格闘はしたものの、ベアリングを痛めたり破損したりしたら困りますので、ブーツをめくって脱臼を直すことにしました。強引にやると、後々もっと厄介なことになる可能性がありますので、お勧めはしません…。
ブーツのバンドを外して、ドライブシャフトブーツをズラしてやると、中の状態が確認できます。
※別の車でブーツ交換をした際の画像なので、グリスが拭き取ってあります。
このように、ドライブシャフトの先端には3つのベアリングが取り付けられており、カップリング側にベアリングが3つ格納できるような形状に。
脱臼している場合、このベアリング部分がカップリングから飛び出してしまっている状態です。
下の画像の矢印部分がカップリングです。ミッションケースに刺さっている部分です。
これだけなら、ブーツを外さなくても位置と高さだけ手探りで割り出して押し込めば簡単に直せるじゃん。
そう思われる方もいらっしゃるかと思いますが、この3つのベアリングはドライブシャフトの先端に固定されている訳ではなく、はまり込んでいるだけ。カップリングから出てしまうと、ベアリングが外側に少し出てきている可能性があります。
これまた過去に作業をした車の写真ですが、画像の矢印部分です。
そのため、どれだけ位置を合わせて押し込んでも上手く入らない可能性があります。強引に押し込めば場合によっては、ベアリングがズレていても、内側に押し込まれて入るかもね。その可能性があるということは、その逆の可能性も十分あり得ます。
つまるところ、ベアリングが外側に弾き出されて、シャフトの三又形状になっている箇所から取れてしまう。そうなると、ベアリングの内側にはニードルベアリングが入っていて、そいつがバラけます。そうなると、かなり厄介でドライブシャフトを車体に付けた状態では修復するのがかなり大変になります。
上の画像のシルバーのリング形状をしたベアリングの下側にニードルベアリングがあるのが確認出来ると思います。これは、固定されていません。どうなるかはご想像にお任せします。
車種によっては、ニードルベアリングの受けがあってバラけないかも。だた、過去にこの辺の分解をしたことがあるミニクーパーのベアリングがバラけて悲惨でした。(てっきり受けがあるかと思ってグリスを拭き取ったら、ウエスにニードルベアリングがびっちり。笑)
ベアリングを3つ内側に入れ込んだ状態で、シャフトとナックルを手で持ちながら位置を合わせた状態でドライブシャフトをカップリング側にスライドすると脱臼が完治します。
ここはすんなり入ります。すんなり入らない場合は、位置がズレているかベアリングがズレているかのどちらかかと思いますので、ここまできて強引に押し込んだりしないようにね…。
再度にブーツバンドを再度固定してやれば、作業が完了です。
まとめ
少しぐらいは、ドライブシャフトブーツが付いている状態でからかって見るのも悪くはないと思いますが、少しやってみて入る気配がない場合は、少し面倒ではありますが、この記事で紹介した通りブーツバンドを外してブーツをズラした状態で脱臼を直すことをお勧めします。
人間の関節のように、なかなか力とコツだけでは上手く嵌め込めるとは限りません。人間の関節にはベアリングが無いからね…。あれば、関節が摩耗しないし動きもスムーズで良さそうだけども。
いかんせん、ドライブシャフトの脱臼を直すのが今回で初めてだったのもので、ロアアームのボールジョイント部分を外したお陰でその後がスムーズにいったかは定かではありませんが、ブーツをめくってからはすぐに脱臼が完治しました。
その辺は、各々の判断に委ねます。
それでは。
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