モンキーのカムチェーンが伸びてしまったので、交換しようと思っているのですが、カムチェーンの交換は簡単でしょうか?カムチェーン単体の交換方法を教えて頂けたら嬉しいです。
先日、このような質問を頂きました。
そこでこの記事では、モンキーやカブを始めとするホンダの横型エンジンのカムチェーンを交換する方法について紹介していきます。
使用する工具
- フライホイールプーラー
- ユニバーサルホルダー
- ショックドライバー
- ラチェットとソケット(9ミリと10ミリ)
- コンビレンチ(10ミリ)
ユニバーサルホルダーに関しては、インパクトレンチがあれば、なくても作業可能です。
カムスプロケットを固定しているボルトは、8ミリでも10でもなく、9ミリになります。この工具は用意しておかないと、手元にない場合が多いので注意です。
※基本的なセット工具には、9ミリがないケースが多いです。
【モンキーやカブ】カムチェーンの交換方法
カムチェーンの交換手順は以下の通りです。
- カムスプロケット固定ボルトを外す
- シリンダーヘッドを外す
- チェーンガイドローラーを外す
- フライホイールとステーターコイルベースを外す
- 新しいカムチェーンを逆手順で取り付ける
カムチェーンを単体で交換する場合にも、シリンダーヘッド周りを多少分解する必要があります。(外さなくても作業は可能ですが、初めて作業するような方だと外した方が楽だし、早いかと思います。)
※車体からエンジンが降りた状態の写真を使用していますが、エンジンを下さなくても作業可能です。
カムスプロケット固定ボルトを外す
まず初めに、カムスプロケットを固定するボルトをすべて外して、カムチェーンスプロケットを、カムシャフトから外しておきます。
- 6Vのカムシャフト ボルト3本
- 12Vのカムシャフト ボルト2本
この固定ボルトが9ミリです。
この時、カムの丸印をエンジンの切掛けに合わせたところでスプロケットを外しておくと、組み付け時のバルブタイミングの調整が楽です。
上の画像がその状態です。
※カムの山を押しているようなタイミングでスプロケットを外してしまうと、カムが回せないですからね。
シリンダーヘッドを外す
カムスプロケットを外したら、シリンダーヘッドを固定しているトップカバーのナット4つを外し、さらにシリンダーと固定している左側側面の10ミリボルトを外します。
これで、シリンダーヘッドがズラせます。
ここをズラしてやらないと、シリンダーの側面から固定しているカムチェーンガイドローラーの脱着が困難、シリンダーヘッドを外す必要があります。(絶対に出来ないわけじゃないけども…。)
新しいカムチェーンをシリンダーヘッド側まで持っていく作業も、シリンダーヘッドをズラしておけば、シリンダーとシリンダーヘッドの隙間からチェーンを手で通せるので楽です。ピックツールやマグネットツールを駆使すれば、バラさなくてもチェーンをヘッドまで持っていくことも出来ないことはないけども。
兎にも角にも、シリンダーヘッドを外した方が作業は確実に速いかと思います。
どうしてもシリンダーヘッドを外したくない、ズラしたくないと言う方がいれば、外さずさなくても作業できないわけではないので、挑戦してみたら良いかと思います。
チェーンガイドローラーを外す
シリンダーヘッド周りを外したら、シリンダーの側面にあるチェーンガイドローラーを固定してるボルト(10ミリ)を外します。
ボルトを外す際に、チェーンでうまく挟みながら手でローラーを引っ張ると外に出せます。ステーターコイルベースも外すので、そのままローラーが下に落ちてしまっても大丈夫ですけどね。
ここは最後でも構いません。
チェーンガイドローラーを取らないと、カムチェーンは外せませんので、必ず外す必要があります。
フライホイールとステーターコイルベースを外す
最後にフライホイールを取り外し、ステーターコイルベースを外すと、クランクシャフトのスプロケット部分にカムチェーンが通っているので、そちらを外すとカムチェーンがエンジンの外側に出すことが可能です。
▪️フライホイールの外し方
カムチェーンテンショナーを手で押し上げた状態にすれば、テンショナーの先端に取り付けられているローラーが外せます。
ローラーはハマっているだけです。
新しいカムチェーンを取り付ける
古いカムチェーンが取り外せたら、あとは逆の手順で新しいカムチェーンを取り付けてやります。
新しいカムチェーンを取り付ける際には、一度チェーン全体をパーツクリーナーで洗浄し、その後オイルを塗布して組み付けます。
- クランクシャフト側のスプロケにチェーンを掛ける
- カムチェーンをシリンダー側に通す
- カムチェーンガイドローラーをチェーンの中に入れてボルトを固定する
- シリンダーヘッドの中でスプロケットを掛ける
- シリンダーヘッドをシリンダーに固定し、カムスプロケットを固定する
シリンダー部分に固定されているチェーンガイドローラーを固定する際のコツは、カムチェーンにローラーを挟み込み、少しづつローラーを規定の位置までズラしていきつつ、穴位置があったタイミングで一気に固定ボルトを差し込み、手でねじ込みます。
ローラーの穴位置を合わせる際には、カムチェーンを手で持ち、ローラーの穴位置と固定ボルトの穴位置が合う高さになるようにチェーンで上手いこと調整すれば比較的簡単に取り付けが可能です。
カムチェーンを取り付ける際には、クランクシャフトのスプロケット部分とオイルポンプギア、テンショナーローラーにチェーンがきっちり引っ掛かっているか確認すること。
最後はバルブタイミングの調整と、カムチェーンの張り調整を忘れずに。
※オートテンショナーの場合は、テンショナーボルトを締め込むだけですので張り調整はありません。
カムチェーンの交換時に合わせて交換する部品
絶対にとは言いませんが、カムチェーンを交換する際には以下の部品を同時に交換することを強くお勧めします。
交換して間もないようなケースを除いては、基本的に交換がお勧め。
- チェーンテンショナーのプッシュヘッド
- チェーンガイドローラー
- テンショナーローラー
個人的に、チェーン周りの分解をした際には必ず交換する部品等です。
いくらもしない部品なので、傷んでいるか否かは気にせず、分解時にはついでに交換しちゃいます。
まとめ
モンキーやカブのカムチェーンを交換する際の手順は以下の通りです。
- クランクシャフト側のスプロケにチェーンを掛ける
- カムチェーンをシリンダー側に通す
- カムチェーンガイドローラーをチェーンの中に入れてボルトを固定する
- シリンダーヘッドの中でスプロケットを掛ける
- シリンダーヘッドをシリンダーに固定し、カムスプロケットを固定する
初めての作業でどうしても不安だ。と言う方はわかる人にお願いして、作業を見守ってもらうなり、バイク屋さんに頼むなりした方が良いかと思います。
もしくは、キタコさんから発売されている虎の巻(腰上編)を購入して、熟読してから作業に入ることをお勧めします。学校の教科書よりも安く、ためになりますよ。
それでは。
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